要点
体の一部が赤くなる、姿勢がおかしい、ひっくり返ったまま起き上がれない、といった様子は、 Batrachochytrium dendrobatidis(Bd)という真菌による壺菌症で報告されている所見と重なります[1]。
見た目に目立った症状がなくても、検査でだけ感染が確認される場合があると報告されており[1]、 症状の有無だけで安心はできません。
世界的に両生類の個体数減少の一因とされている病気で[3]、 様子を見て自然に治ることを期待せず、早めの受診が勧められます。
通常の姿勢
ひっくり返ったまま起き上がれない状態
どんな症状か
飼育下のオーストラリアアマガエル(Litoria caerulea)13匹で発生が確認された記録では、 次の経過が報告されています[1]。
| 時点 | 姿勢・皮膚の変化が見られた個体 | 検査で陽性だった個体 |
|---|---|---|
| 感染が疑われた時点(野外由来個体を屋外飼育に移してから約3か月後) | 13匹中3匹(姿勢の異常、お腹側の赤み) | 13匹中5匹 |
| 1回目の加温(平均約30℃、開始から28日目の検査) | 見た目には症状なし | 13匹中7匹 |
| 別の飼育室に移して行った2回目の加温(約31℃・約4週間)後 | 見た目には症状なし | 13匹中0匹(全例で陰性化) |
| 通常の飼育温度に戻してから1か月後 | 13匹中3匹(お腹側の赤みなど) | 13匹中4匹(再び陽性) |
いったん全例が陰性になったあとも、通常温度に戻すと一部の個体で再び陽性になっており、見た目の症状が無い時期にも検査だけが陽性になることがあると報告されています[1]。
別の飼育コロニーで発生した際には、42匹中6匹が死亡したと報告されています[2]。
この病気にかかった両生類の集団では、報告によって幅があるものの、30〜90%という高い死亡率が記録された例もあるとされています[3]。
考えられる原因
Batrachochytrium dendrobatidis(Bd)という真菌(カビの一種)への感染が原因として報告されています[1][3]。
- 両生類の皮膚は呼吸や水分・イオンバランスの調整に重要な役割を持ち、感染がその機能に影響すると報告されている[3]
- 菌の増えやすさは温度に左右されると報告されており、飼育設備の一部だけ温度が上がりにくい場所があると、そこで感染が残る可能性が指摘されている[1]
- ストレスが感染の悪化に関連する可能性が報告されている。ある記録では、飼育設備に小さなアリが入り込んで個体を刺激したとみられる時期のあとに、いったん検出されなくなっていた感染が再び検出されるようになったとされている[1]
原因がはっきりしない場合もあり、飼い方のどこか一つが悪かったと決めつけられる病気ではありません。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。
そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると考えられています[1]。
- 種に応じた適切な温度を保ち、飼育設備の中に温度が上がりにくい場所ができないよう気をつける
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高い温度で菌の増殖を抑える方法が報告されていますが[1]、専門的な設備と継続的な温度管理・検査を行った記録でも、十分な効果を得るのは容易ではなかったとされています[1]。家庭で温度を上げるだけの対応で治療が完了すると考えないでください。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- 体の一部に急な赤み・変色が広がっている
- ひっくり返ったまま自力で起き上がれない、体を起こす反応が鈍い
数日のうちに受診を検討してください
- 皮膚の色や質感がいつもと違う状態が続いている
- 新しく迎えた個体、あるいは複数飼育している場合に、1匹にでも皮膚の色や質感の変化が見られる
検査が一度陰性になっても、その後の観察を続けることが勧められています[1]。