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ウーパールーパーが浮く、体が膨れる(浮力の異常・体腔内の空気・腹水)

ウーパールーパー(アホロートル)が浮く、体やお腹が膨れているときは、 症例報告で浮力の異常(体腔内に漏れた空気)が報告された状態や、細菌による敗血症で 死亡した個体の解剖で腹水・むくみが見つかった報告と重なることがあります。ごく少数の症例報告をもとに、 報告されている症状・原因・受診の目安をまとめました。

文献 4 本更新

診断や治療を提供するものではありません。

ここに書いてあるのは、文献に報告されている内容の要約です。 実際の診断・治療は、必ず動物病院で受けてください。

要点

ウーパールーパー(アホロートル)が浮く、体やお腹が膨れている。

ウーパールーパーの浮く症状を扱った査読文献は、当サイトが調べた範囲では、3 個体の症例報告(抄録のみ)1 本です。本文は取得できておらず、抄録の範囲でまとめています。

これらは、症例報告で報告されている次のような状態と重なることがあります。

**ただし、どちらもごく少数の症例報告です。**浮く、膨れるの原因は、 ここに挙げたものに限りません。

ウーパールーパーが水面近くに浮かぶイメージ図
イメージ図。実際の個体の見え方には個体差があります。お腹のあたりを示しています。

どんな症状か

浮力の異常(3 個体の症例報告)

家庭で飼われていたウーパールーパー(Ambystoma mexicanum)3 個体の症例報告では、 浮力の異常を示した個体について、次のことが報告されています[1]。 この論文は、著者らの知る限り、ウーパールーパーの浮力異常の病理についての 報告は、それまでに無かったと述べています。

項目 報告されている内容
対象 成体 3 個体(年齢 1・5・6 歳、体重 48・55・56 g)
X 線検査 2 個体で体腔内に遊離した空気(free air)を確認
超音波検査 3 個体すべてで体腔内に音響陰影を確認し、体腔内の空気(pneumocoelom)と診断
肺の所見 2 個体で肉眼的に肺の穿孔、3 個体すべてで肺の尾側端に線維化
経過 肺の病変を取り除いたところ(抄録では experimental pneumonectomy)、3 個体とも浮力の異常がなくなったと報告

著者らは、空気が肺から体腔内に漏れたと結論し、肺の病変がウーパールーパーの 浮力異常の重要な原因だと提案しています[1]。 この報告の抄録は、浮力の異常が具体的にどう見えたか(浮き上がる、傾くなど)や、 肺の病変が何によって生じたかを述べていません。

腹水・むくみ(細菌による敗血症の 3 個体)

メキシコの研究施設で飼育されていた成体のウーパールーパー 3 個体は、 病歴がないまま死亡して見つかり、解剖で次のことが報告されています[2]。

項目 報告されている内容
腹水 3 個体すべてで確認(軽度から中等度)
むくみ 3 個体すべてで後肢に中等度のむくみ
皮膚 2 個体で皮膚の潰瘍、1 個体でわずかな出血
内臓 肺の充血(軽度から重度)。個体により肝臓・脾臓・腎臓の肉眼的な異常。組織検査で肺炎・肝炎・胃炎・腸炎・糸球体腎炎
細菌の検出 腹水・肺・えらから Aeromonas veronii、Citrobacter freundii、Citrobacter portucalensis などを検出

著者らは、微生物学的・肉眼的・組織学的所見から、3 個体の死因を敗血症としています[2]。 この報告で記されているのは解剖の所見であり、生きている間に浮力の異常があったかどうかは 述べられていません。

体腔内の液体は、少量なら正常な場合もある

健康と判断された 28 個体のウーパールーパーの超音波検査では、体腔内に少量の液体が 全個体で見られたと報告されています。同論文はこれを、両生類でよくみられる 生理的な所見で、腹水(hydrocoelom)とは区別されるとし、多量の液体が体腔を満たして 肝臓や消化管が液体の中に浮くようになった場合を異常とみなす、と述べています (この基準は同論文が引用する教科書の記述です)[3]。

考えられる原因

文献では、次のことが報告されています。

敗血症の報告の序論は、飼育下の両生類の細菌感染は、過密な飼育条件や水質の悪さが 引き起こす生理的ストレスによるとされてきたと述べています。ただしこれは序論の 記述で、この研究の 3 個体で確かめられたことではありません[2]。

いずれも、飼い方のどこか一つが原因と断定できるものではありません。 個々の個体で何が原因かを、当サイトが特定することはできません。 診断は必ず獣医師の判断によります。

家庭でできること

診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。

そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると 考えられています。

  • 水質・水温を、飼育している種にとって適切とされる範囲に保つ
  • 普段の浮き方・お腹の大きさ・食欲を記録しておき、変化に早く気づけるようにする
  • 受診するときは、いつから、どのように浮くか(または膨れるか)、食べているかを 獣医師に伝えられるようにしておく

浮いている個体のお腹を押したり、体内の空気や液体を抜こうとしたりしないでください。 報告されている体腔内の空気や腹水は、画像検査や解剖で確認されたものです。

受診の目安

今日中に受診を検討してください

  • 水面に浮いたまま、潜れない・姿勢を保てない
  • お腹や体が目に見えて膨れている、後肢などにむくみがある
  • 皮膚に潰瘍や出血がある
  • 食べず、ぐったりして動かない

数日のうちに受診を検討してください

  • 浮きやすさやお腹の膨らみが、軽くても何日も続いている
  • 食欲が無い状態が数日以上続いている

敗血症の報告では、3 個体とも死亡して見つかるまで病歴がなかったとされています[2]。 外見の変化が軽く見えても、様子見を長引かせないことを検討してください。

よくある質問

ウーパールーパーが浮くのは何の病気ですか

家庭で飼われていたウーパールーパー 3 個体の症例報告では、浮力の異常を示した 3 個体すべてが体腔内の空気(pneumocoelom)と診断され、肺に病変(尾側端の 線維化)が見つかったと報告されています[1]。ただし 3 個体の報告であり、 浮く原因がすべて肺の病変とは限りません。原因を決めるには獣医師による検査が 必要です。

体やお腹が膨れているのは何ですか

細菌による敗血症で死亡したウーパールーパー 3 個体の報告では、解剖で 腹水(軽度から中等度)と後肢のむくみが 3 個体すべてに見つかったと 報告されています[2]。一方、健康と判断された 28 個体の超音波検査では、 体腔内に少量の液体が全個体で見られ、同論文はこれを両生類でよくみられる 生理的な所見で腹水とは区別されるとしています[3]。膨れの原因が どれにあたるかは、外見からは分かりません。

水の状態は関係しますか

野生のサンショウウオ(Anji salamander)の幼生 4 個体の報告では、気体が 水に過剰に溶け込んだ状態(気体過飽和)に関連する気泡病(ガスバブル病)が 報告され、皮下や腹部の気体、浮力の異常、食欲不振がみられたとされています[4]。 これは野外の別種の幼生の報告で、ウーパールーパーでの報告ではありません。 また敗血症の報告では、飼育下の両生類の細菌感染は過密な飼育条件や水質の悪さが 生む生理的ストレスによるとされてきた、と序論で述べています[2]。

浮いているお腹を押してガスを抜いてもよいですか

この記事が参照した範囲(3 本の本文と 1 本の抄録)には、そのような方法を述べた記述はありません。 体腔内の空気の報告では、X 線検査や超音波検査で空気が確認され、肺の病変が 調べられています[1]。家庭で押したり処置したりしないでください。

根拠にした文献

  1. Takami Y, Une Y. (2018). Buoyancy disorders in pet axolotls Ambystoma mexicanum: three cases. Diseases of Aquatic Organisms, 127(2): 157-162。DOI: 10.3354/dao03187抄録のみ 抄録による記述です。
  2. Diaz OL, Buendia A, Sánchez J, Villalobos G, Rojas-Serrania N, Cervantes JAO, Uranga-Muñoz F, Martinez-Hernandez F, Rendón-Franco E, Muñoz-García CI. (2025). Identification of enterobacteriaceae causing septicemia in the axolotl Ambystoma mexicanum. Antonie van Leeuwenhoek, 118(3): 56。DOI: 10.1007/s10482-025-02067-yCC BY
  3. Vieu S, Le Poul N, Tur L, Aupée C, Kerbrat-Copy R, Bouhsina N, Cojean O, Fusellier M. (2024). Ultrasound description of the coelomic cavity of the axolotl (Ambystoma mexicanum) in a clinically healthy population: a pilot study. Scientific Reports, 14(1): 11787。DOI: 10.1038/s41598-024-62264-zCC BY
  4. Dong H, Dong M, Jin X, Lang Z, Wang X, Xu J, Hu Z, Xu X. (2026). Clinical observations, environmental parameters, and gut microbiota alterations associated with gas bubble disease in the endangered Anji salamander (Hynobius amjiensis). Frontiers in Veterinary Science, 13: 1900113。DOI: 10.3389/fvets.2026.1900113CC BY

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