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ボールパイソンが口を開けて呼吸する・鼻水が出る(呼吸器疾患)

ボールパイソンが口を開けて呼吸する、鼻や口から粘液が出る、食べなくなったときは、 ニドウイルス(サーペントウイルス)による呼吸器疾患が報告されている症状と重なります。 米国での調査・実験感染の報告をもとに、報告されている症状・原因・受診の目安をまとめました。

文献 3 本更新

診断や治療を提供するものではありません。

ここに書いてあるのは、文献に報告されている内容の要約です。 実際の診断・治療は、必ず動物病院で受けてください。

要点

口を開けて呼吸する、鼻や口から粘液・鼻水のようなものが出る、食べなくなる。

これらは、ニドウイルス(サーペントウイルスとも呼ばれる)による呼吸器疾患で報告されている症状と重なります[1][3]。

1990 年代後半から飼育下のボールパイソンで報告されるようになった、致死的にもなりうる病気です[2]。

口を開けて呼吸するヘビと鼻先の位置
イメージ図。実際の個体の見え方には個体差があります。口を開けて呼吸している様子と、鼻水・粘液が出ることがある鼻先を示しています。

どんな症状か

米国 12 施設で飼育されている 639 匹のヘビ(うちパイソン科 414 匹)を調べた調査では、次のことが報告されています[1]。

項目 結果
パイソン科(ニシキヘビ類)の感染率 38%(95% 信頼区間 33.1〜42.4%)
ボア科の感染率 10%(95% 信頼区間 5.2〜18.7%)
コルブス科(ナミヘビ科)の感染率 0.9%未満
感染したパイソン科のうち呼吸器症状が見られた個体 約 59%(144 匹中 85 匹)

ボールパイソンにニドウイルスを実験的に感染させた研究では、口の粘膜の発赤・多量の粘液分泌・開口呼吸・食欲不振という臨床症状と、慢性の鼻炎・口内炎・気管炎・肺炎という病変が報告されています[3]。

感染していても症状がはっきり出ない個体もいると報告されており、症状の有無だけで感染していないと判断はできません[1]。

考えられる原因

ニドウイルス(サーペントウイルス)という、ヘビに感染するウイルスへの感染が原因として報告されています[2][3]。

家庭でできること

診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。ウイルスそのものに効く薬は確立されておらず、自己判断での投薬は勧められません。

  • 新しく迎えた個体は、しばらく既存の個体と離れた場所で飼育し、様子を見る
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  • 複数飼育している場合は、個体ごとに器具(水入れ・保温器具など)を分ける
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  • 1 匹に呼吸器の症状が出たら、他の個体も含めて獣医師に相談する
  • 適切な温度・湿度を保ち、飼育環境がストレスの原因にならないようにする
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これらは一般的な感染対策であり、すでに感染している個体を治すものではありません。

受診の目安

今日中に受診を検討してください

  • 口を開けたまま呼吸している、あるいは呼吸に力が入っている
  • 鼻や口から粘液・泡状のものが出ている

数日のうちに受診を検討してください

  • 食欲が無い状態が数日以上続いている
  • 口の中の粘膜が普段と違う赤みを帯びている
  • 多頭飼育していて、1 匹に上記の様子が見られる

多頭飼育の場合、1 匹に呼吸器の症状が出た時点で、他の個体も含めて相談することが勧められます[1]。

よくある質問

口を開けて呼吸するのは普段の癖ではないのですか

ヘビは通常、口を閉じたまま呼吸します。実験的にニドウイルスを感染させた ボールパイソンでは、開口呼吸・多量の粘液分泌・口の粘膜の発赤・食欲不振が 報告されています[3]。普段は見られない開口呼吸が続く場合は、 呼吸器の異常のサインである可能性があります。

ボールパイソンは特にかかりやすいのですか

米国 12 施設・639 匹のヘビを調べた調査では、パイソン科(ニシキヘビ類) 全体の感染率が 38% と、ボア科(10%)やコルブス科(0.9%)より高く 報告されています[1]。**ただし、この調査でボールパイソンだけを見ると 陽性率は136匹中7匹(5%)で、よく調べられたパイソン科の中ではむしろ 低い側でした**(陽性が多かったのは主にモレリア属=グリーンパイソン等)。 ボールパイソン自身がかかりやすいと言うより、パイソン科という分類群 全体で感染率が高いと報告されている、という点に注意してください[1]。

無症状のまま持っていることもありますか

あります。同じ調査では、感染していても持続的にウイルスを持ち続け、 症状がはっきり出ない個体も報告されています[1]。 症状が無いからといって感染していないとは限らず、 新しく迎えた個体を既存の個体と分けて様子を見ることが勧められる理由の一つです。

根拠にした文献

  1. Hoon-Hanks LL, Ossiboff RJ, Bartolini P, Fogelson SB, Perry SM, Stöhr AC, Cross ST, Wellehan JFX, Jacobson ER, Dubovi EJ, Stenglein MD. (2019). Longitudinal and Cross-Sectional Sampling of Serpentovirus (Nidovirus) Infection in Captive Snakes Reveals High Prevalence, Persistent Infection, and Increased Mortality in Pythons and Divergent Serpentovirus Infection in Boas and Colubrids. Frontiers in Veterinary Science, 6: 338。DOI: 10.3389/fvets.2019.00338CC BY
  2. Stenglein MD, Jacobson ER, Wozniak EJ, Wellehan JF, Kincaid A, Gordon M, Porter BF, Baumgartner W, Stahl S, Kelley K, Towner JS, DeRisi JL. (2014). Ball python nidovirus: a candidate etiologic agent for severe respiratory disease in Python regius. mBio, 5(5): e01484-14。DOI: 10.1128/mBio.01484-14無料公開
  3. Hoon-Hanks LL, Layton ML, Ossiboff RJ, Parker JSL, Dubovi EJ, Stenglein MD. (2018). Respiratory disease in ball pythons (Python regius) experimentally infected with ball python nidovirus. Virology, 517: 77-87。DOI: 10.1016/j.virol.2017.12.008CC BY

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