要点
ボアやパイソンが体をひねるように動く、頭が震える、方向感覚を失っているように見える、吐き戻しを繰り返す。
これらは、レプタレナウイルスによる封入体病(Boid Inclusion Body Disease, BIBD)で、特にパイソンにおいて中心的に報告されている神経症状と重なります[1]。
一方で、近年のボアでは目立った症状の無いまま感染していることが多いとも報告されており[1][2]、症状の有無だけで感染していないと判断することはできません。
通常の姿勢
体をひねるような姿勢
どんな症状か
ヨーロッパの飼育コロニーのボアコンストリクター 183 匹を調べた調査で報告されている内訳は、次のとおりです[2]。
| 区分 | 匹数 | 割合 |
|---|---|---|
| 封入体病の指標となる封入体(IB)が確認された個体 | 28/183 匹 | 15.3% |
| レプタレナウイルスの感染が確認された個体(IB が無い個体を含む) | 37/183 匹 | 20.2% |
この調査では、封入体が確認された個体はサンプル採取の時点ですべて臨床的に健康だったとされ、年齢・性別による偏りも見られなかったと報告されています[2]。この報告は、感染を「封入体の無いウイルス感染」「症状の無い封入体病」「症状のある封入体病」の 3 段階に分けて捉えることを提案しています[2]。
パイソンで自然感染した例では、吐き戻し、「スターゲイジング」と呼ばれる宙を見つめるような姿勢、頭の震え、方向感覚を失った様子、コルク抜きのようにらせん状にねじれる動き(「コークスクリューイング」)といった中枢神経系の症状が中心に報告されています[1]。同じ報告では、こうした神経症状はかつてボアでも記録されていたものの、近年のボアの封入体病では目立った症状が無いことが多いとされています[1]。
症例報告からは、実際に受診につながった様子も報告されています。
- アルゼンチンボア(Boa constrictor occidentalis、7 歳・雌)で、口・鼻からの粘液の分泌、呼吸困難、開口呼吸、肺の異常音(クラックル音)を主訴に受診した例が報告されています。この個体はすでに封入体病と診断されており、過去にも肺炎を 2 回起こしていました。今回は薬剤耐性を持つ細菌による肺炎と診断され、治療への反応が乏しく、敗血症の様子を呈して死亡したとされています[3]。
- コロンビアレッドテールボア(2 歳・雌)で、全身の痙攣のようなひきつりと、過度なあくびを主訴に受診した例が報告されています[4]。
封入体病にかかったボアでは、細菌・真菌・原虫による二次感染が起こり、肺炎・口内炎・全身性の病気として現れることがあるとも報告されています[2]。
考えられる原因
- レプタレナウイルスというウイルスへの感染が原因とされています[1][2]。
- 感染した個体は、皮膚・糞便・尿酸塩からウイルスの RNA を排出しているとされ、これらが接触による感染の広がり方の一つとして報告されています[2]。
- 親から子への感染(垂直感染)も報告されています[2]。
- 同居による感染の広がりが報告されています。感染している個体と同居していた 40 匹のうち 28 匹(70.0%)が感染していたのに対し、感染していない個体とだけ同居していた 94 匹では 5 匹(5.3%)にとどまったとされています[2]。
- 封入体病によって免疫が弱まり、細菌・真菌などによる二次感染が起こりやすくなるという考え方が広く受け入れられていると報告されています[3]。
原因となるウイルスがどこから来たのかは、今回参照した文献の時点でもはっきり分かっていません。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。封入体病そのものを治す方法は確立されていないと報告されています[4]。
そのうえで、一般的な管理として次のことが助けになる可能性があると考えられています。
- 新しく迎えた個体は、既存の個体と分けて飼育する期間を設ける(同居による感染の広がりが報告されているため)[2]
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PR 予備の保温器具・水入れ:楽天Amazon - 症状が無くても感染している個体がいる可能性を踏まえ、日頃から食欲・排泄・行動の変化に気づけるようにしておく
痙攣や体をひねるような様子が見られても、無理に押さえつけたり、家庭で処置をしたりしないでください。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- 頭が震える、体をひねる、方向感覚を失っているように見えるなど、普段と違う神経の様子がある
- 口を開けたまま呼吸している、呼吸が荒い、口や鼻から粘液が出ている
- 吐き戻しを繰り返す
数日のうちに受診を検討してください
- 食欲が無い状態、元気が無い状態が数日以上続いている
- 口の中に普段と違う異常(赤み・腫れなど)がある
- 新しく迎えた個体、または他の個体と同居している個体で、上記のような様子が見られる
症状が無くても感染していることがあると報告されているため[2]、健康なときの様子を把握しておき、普段との違いに早く気づけるようにしておくことが助けになります。