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フトアゴヒゲトカゲが痩せる・元気がない(微胞子虫症)

フトアゴヒゲトカゲの体重が減る、食欲が落ちる、元気がなくなる状態が長く続くときは、 Encephalitozoon pogonaeという微胞子虫による感染症で報告されている経過と重なります。 日本国内の症例報告やイタリアでの調査などをもとに、報告されている症状・原因・受診の目安をまとめました。

文献 4 本更新

診断や治療を提供するものではありません。

ここに書いてあるのは、文献に報告されている内容の要約です。 実際の診断・治療は、必ず動物病院で受けてください。

要点

体重が減る、食欲が落ちる、元気がなくなる状態が数週間から数か月続く場合、 Encephalitozoon pogonaeという微胞子虫による感染症(微胞子虫症)で報告されている経過と重なります[1][2]。

症状がはっきりしないことが多く、抗菌薬などの治療に反応しない慢性の感染症の 鑑別として検討すべきと報告されています[1]。

進行すると、口の中や体の一部にしこりができる、目が腫れる、といった形で見つかる こともあります[1][3]。自宅で死亡しているのが見つかり、 解剖で初めて診断される例も報告されています[4]。

通常の体格のイメージ図

通常の体格

体重が減った状態のイメージ図

体重が減った状態

イメージ図。実際の個体の見え方には個体差があります。

どんな症状か

報告されている経過はさまざまですが、共通して体重減少や元気消失を伴うことが多いとされています。

報告 内容
イタリアの調査(生体18匹の糞便をPCRで検査) 微胞子虫(E. pogonae)陽性は4匹(22.2%)。陽性だった4匹は全員、体重減少・食欲不振・元気消失・下痢のいずれか、または複数の症状を示していた[2]
日本国内の症例(2例) 症例1:体重減少と頭の震えが数週間続き、口の中にしこりができた。既存の治療に反応せず、初診から約140日後に死亡。症例2:食欲はあったが体重減少がみられ、その後元気が無くなり、4日後に死亡[1]
米国の症例(生後6か月、1例) 片目のまぶた・結膜の腫れから始まり、治療に反応しないまま全身に病変が広がり、心臓を包む膜の中に出血が生じて死亡[3]
米国の症例(若齢、2例) 自宅で死亡しているのが見つかり、解剖で心臓から出る太い血管の炎症と、心臓を包む膜の中への出血が確認された[4]

イタリアの調査では、微胞子虫だけでなく腸の寄生虫(蟯虫・コクシジウムなど)が 高い頻度で見つかっており、複数の寄生虫に同時感染している個体もいたと報告されています[2]。 体重減少や下痢がある場合、微胞子虫症以外の原因が同時に関わっている可能性もあります。

考えられる原因

原因はEncephalitozoon pogonaeという微胞子虫への感染です[1][2]。

感染経路について、次のようなことが報告・推測されています。

家庭でできること

診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。

  • 新しく迎えた個体は、しばらく既存の個体と分けて飼育し、様子を見る
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  • 体重を定期的に記録し、減少に早く気づけるようにする
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  • 排泄物の状態(下痢の有無など)を日常的に確認する
  • 同じ販売元・繁殖施設から複数の個体を迎えた場合、他の個体の様子も注意して見る

これらは一般的な健康管理であり、すでに感染している個体を治すものではありません。

受診の目安

今日中に受診を検討してください

  • 片目や両目のまぶた・結膜が腫れている、充血している
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 口の中や体の一部に、普段と違うしこり・腫れができている

数日のうちに受診を検討してください

  • 体重減少や食欲不振が数日以上続いている
  • 下痢が続いている
  • 頭が震える、普段と違う様子がみられる

既存の治療で改善しない慢性の症状が続く場合も、微胞子虫症を含めた検査の対象として 相談することが勧められます[1]。

よくある質問

フトアゴヒゲトカゲの微胞子虫症とはどんな病気ですか

Encephalitozoon pogonaeという微胞子虫(かつては原虫、現在は真菌に近いものとして 分類し直された微生物)による感染症です。腎臓・心臓・肺・口腔など複数の臓器に 肉芽腫性の炎症を起こすことが報告されており[1]、眼にも病変が及んだ例が 報告されています[3]。日本国内でも致死例が報告されています[1]。

症状が無くても感染していることはありますか

イタリアで行われた調査では、糞便の検査で微胞子虫が陽性だった4匹は、 いずれも体重減少・食欲不振・元気消失・下痢のいずれかを示していました[2]。 一方で、日本の症例報告では、感染していたとみられる個体が同じ販売元から 別々の家庭に渡り、それぞれの家庭で発症したことから、症状が出ないまま 感染を持っている期間がある可能性が指摘されています[1]。

目の症状だけの場合でも重症化しますか

米国で報告された1例では、はじめは片目のまぶた・結膜の腫れだけが見られましたが、 治療に反応せず、最終的に全身に病変が広がり、心臓を包む膜の中に出血が生じて 死亡しました[3]。目だけの症状に見えても、全身性の病気の一部である可能性があるため、 軽く見ないことが勧められます。

根拠にした文献

  1. Shibasaki K, Tokiwa T, Sukegawa A, Kondo H, Tamukai K, Haga Y, Ike K. (2017). First report of fatal disseminated microsporidiosis in two inland bearded dragons Pogona vitticeps in Japan. JMM Case Reports, 4(4): e005089。DOI: 10.1099/jmmcr.0.005089CC BY
  2. Guardone L, Marigliano A, Mancianti F, Perrucci S. (2024). Endoparasite Infections in Captive Inland Bearded Dragons (Pogona vitticeps) in Italy. Pathogens, 13(6): 443。DOI: 10.3390/pathogens13060443CC BY
  3. Raphtis V, Roeder M, Jimenez-Romero A, Meritet D, Chan K, Ozawa S, de Linde Henriksen M. (2026). An Ocular Manifestation of a Systemic Disease With Encephalitozoon Pogonae in a Juvenile Central Bearded Dragon (Pogona vitticeps). Veterinary Ophthalmology, 29(2): e70081。DOI: 10.1111/vop.70081無料公開
  4. Wünschmann A, Armién AG, Childress AL, Wellehan JFX, Giannitti F. (2019). Intrapericardial Encephalitozoon pogonae-associated arteritis with fatal hemopericardium in two juvenile central bearded dragons. Journal of Veterinary Diagnostic Investigation, 31(3): 467-470。DOI: 10.1177/1040638719834330抄録のみ 抄録による記述です。

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