要点
舌や唇、口の中が腫れて炎症を起こしている、呼吸が苦しそうにしている。
これらは、トカゲ・ヤモリの口内炎(マウスロット)として文献に報告されている症状と重なります[1][2]。
原因は一つに決まっておらず、真菌・ウイルス・全身性の感染など複数のものが報告されています。見た目だけで原因を判断することはできません。
どんな症状か
フトアゴヒゲトカゲ・ベールカメレオン・パンサーカメレオンから分離された真菌(Metarhizium viride)の調査では、次のことが報告されています[1]。
| 個体 | 内容 |
|---|---|
| フトアゴヒゲトカゲ 8 匹・ベールカメレオン 6 匹・パンサーカメレオン 6 匹(計 20 匹) | 分離株を採取 |
| ほとんどの個体 | 舌炎・口内炎・咽頭炎を発症、または全身性の真菌感染で死亡 |
スーダンヒラタトカゲ・クロスジヒラタトカゲを対象にした報告では、次のような症状が記録されています[2]。
- スーダンヒラタトカゲ 1 匹:舌の口内炎と重度の呼吸困難(解剖でヘルペスウイルスの封入体を確認)
- スーダンヒラタトカゲ 1 匹・クロスジヒラタトカゲ 1 匹:唇の口内炎
飼育下のアルゼンチンテグー(Salvator merianae)4 匹を対象にした報告では、元気消失・食欲不振・脱水とともに口内炎が見られ、血液検査でプラスモジウム(血液の寄生虫)への感染が確認されています[3]。
考えられる原因
文献で報告されている原因には、次のようなものがあります。
- 真菌感染(Metarhizium viride による舌炎・口内炎・咽頭炎、抗真菌薬への反応が乏しい例が報告されている)[1]
- ヘルペスウイルスの感染(個体ごとに異なる新規のウイルスが報告されている)[2]
- 血液の寄生虫(プラスモジウム)による全身性の感染[3]
口内炎は単独の病気というより、複数の原因で起こりうる症状として報告されています。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。
そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると考えられています。
- 適切な温度・湿度を保ち、飼育環境がストレスの原因にならないようにする
PR 温湿度計:楽天Amazon - 新しく迎えた個体は、しばらく既存の個体と分けて飼育し、様子を見る
PR 隔離用ケース:楽天Amazon - 口の中を家庭で洗浄したり、市販薬を自己判断で使ったりしない
これらは一般的な健康管理であり、すでに口内炎を起こしている個体を治すものではありません。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- 口を開けたまま閉じられない、または呼吸が苦しそうにしている
- 口の中から出血している、あるいは強い腫れがある
数日のうちに受診を検討してください
- 口の中に白っぽいもの・腫れが見られる
- よだれが増えた、口の周りを気にする様子がある
- 食欲が無い状態が数日以上続いている、元気が無い
血液の寄生虫による感染では、投薬で改善した例も報告されています[3]。原因が分かれば対応できる場合もあるため、自己判断で様子を見続けず、早めに相談することが勧められます。