要点
カメレオンがゼーゼーする、頭を上に向けて口を開けてあえぐ、口の中に粘液が 増える、食欲が無い。
これらは、症例報告で報告されている呼吸器の感染症の症状と重なることが あります[1]。
一方で、口臭・便秘・脱皮不全といった、一見呼吸器と関係のなさそうな症状が 先に出て、あとから肺に寄生虫が見つかった症例も報告されています [2]。呼吸が苦しそうな様子が無いからといって、肺に問題が無いとは 言い切れません。
どんな症状か
米国の複数の商業ブリーダーから導入されたベールカメレオン (Chamaeleo calyptratus)の集団を対象にした症例報告では、導入から 3〜4週間以内に、次の症状が報告されています[1]。
| 症状 | 内容 |
|---|---|
| 呼吸のしかた | ゼーゼー(wheezing)、頭を上に向けて口を開けてあえぐ |
| 口・鼻 | 口の中の粘液が増える |
| 全身状態 | 食欲不振、飲水量の低下 |
| 経過 | 幼体は導入から0.5〜1.5か月で死亡 |
このうち症状のあった1個体の病理解剖では、慢性で活動性のある 気管支間質性肺炎・気管炎・鼻炎が確認されたと報告されています [1]。
**症状が無くても感染していることがあります。**同じ報告では、臨床的に 健康だった6頭のうち5頭が、PCR検査でウイルス陽性だったとされて います[1]。幼体のほうが進行が早い傾向が報告されている 一方、症状の無い個体が感染を広げている可能性も否定できません。
別の症例報告では、ドイツの動物園で飼育されていた成体のメラーカメレオン (Trioceros melleri)1個体で、口臭・便秘・脱皮不全がみられ、定期の 糞便検査で寄生虫(ペンタストム)の卵が見つかったとされています [2]。この時点では呼吸に関する症状は報告されていません。 駆虫治療を開始してから6日後に急性の呼吸困難と重度の元気消失がみられ、 酸素投与・抗菌薬・支持療法で一度は改善したものの、その後の治療でも 虫卵の排出が続き、最終的に安楽死となったと報告されています [2]。解剖では、肺から成虫のペンタストム29匹が見つかりました [2]。
考えられる原因
症例報告で報告されている要因には、次のようなものがあります。
- ウイルスの重複感染:セルペントウイルス(ニドウイルスの一種)と オルソレオウイルスの重複感染が検出された症例が報告されています。 ただしウイルス感染と発症の因果関係はまだ確定していません (今後の実験的感染研究が必要だと論文自身が述べています)[1]
- 肺の寄生虫(ペンタストム):1個体の症例報告で、肺から成虫の ペンタストムが多数見つかりました。この個体は野生由来で、報告では 輸入前の野生下で感染した可能性が最も高いとされています(同じ飼育環境に いた同居個体は感染していませんでした)。この寄生虫(Raillietiella orientalis)がカメレオン科で報告されたのはこの症例が初めてで、 一般的な原因とは言えません[2]
- 年齢:上記のウイルスの報告では、幼体のほうが進行が早い 傾向がみられたとされています[1]
いずれも、1つの報告だけで原因を断定できるものではありません。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。
そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると 考えられています。
- 新しく迎えた個体は、既存の個体と分けて様子をみる期間を置く
(症例報告の集団では、導入後まもなく症状が広がりました[1])
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これらはあくまで一般的な健康管理であり、すでに呼吸器に問題がある個体を 治すものではありません。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- ゼーゼーという音がする、頭を上に向けて口を開けてあえぐ
- 治療(駆虫薬など)を始めたあとに、急に呼吸が苦しそうになった、 ぐったりした
数日のうちに受診を検討してください
- 口の中の粘液が増えている、食欲や飲水量が落ちている
- 口臭・便秘・脱皮不全など、呼吸器と直接関係なさそうな症状が続いている
症例報告では、呼吸に関する症状が無いまま病気が進み、あとから肺の 問題が見つかった例も報告されています[2]。「呼吸が苦しそうでは ないから大丈夫」と自己判断せず、普段と違う様子が続くときは早めの受診が 勧められます。