要点
目の周りが腫れている、まぶたが開かない、目に分泌物がついている。
これらは、カメ・リクガメで報告されているまぶたの浮腫(腫れ)や結膜炎、まぶたの炎症と重なります[1][2][4]。
原因は一つに決まっておらず、ビタミン A 欠乏、マイコプラズマやヘルペスウイルスの感染、ダニの付着などが報告されています。見た目だけで原因を判断することはできません。
どんな症状か
米国テキサス州の野生のテキサスリクガメ(Gopherus berlandieri)194 頭(171 頭と 23 頭の 2 地点)を調べた調査では、20 頭(それぞれ 18 頭と 2 頭)が、鼻水・結膜炎・まぶたの浮腫といった、マイコプラズマによる上気道疾患に合う症状を示したと報告されています[2]。調査では上気道疾患の兆候として、鼻の分泌物、結膜炎、目の腫れ、ぜいぜいした呼吸などを見ています[2]。
この調査では、PCR 検査の結果はすべて Mycoplasma agassizii について陰性でした。それでも著者らは、マイコプラズマ症が観察された症状の原因として最も可能性が高いと考えたと述べています[2]。
野生のデザートトータス(Gopherus agassizii)1 例の報告(抄録による)では、両側のまぶたが減少し、両方の角膜の上側が組織の板状のもの(plaque)で覆われた状態が見られました。角膜の拭い液の PCR で Mycoplasma agassizii が陽性で、2 か月後の剖検では、まぶた周囲の鱗の皮膚びらんによって眼裂が広がり、両側の瞬膜の結膜炎と眼球結膜の扁平上皮化生がありました[3]。著者らは、マイコプラズマ症のデザートトータスやゴファートータスで目の病気そのものは報告されているものの、まぶたの組織の広い欠損・瞬膜の結膜炎・眼球結膜の扁平上皮化生はそれまで報告されていないと述べています[3]。
野生のカメを対象にした報告のほかに、アカアシガメ(Chelonoidis carbonarius)の 1 例の症例報告があります。押収された若い雌で、左目の周りにダニ(Amblyomma rotundatum)が付いており、取り除いた直後に、付着部位に重いまぶたの炎症(眼瞼炎)が見られたと報告されています[4]。同じ報告では、ダニの除去と、傷の手当て・抗炎症の処置が行われて 1 週間後には、炎症が大きく減り、食べる・飲む行動も正常だったとされています[4]。
考えられる原因
文献で報告されている原因や関連する要因には、次のようなものがあります。
- ビタミン A 欠乏(ヨーロッパヌマガメを主題にしたレビューが、淡水ガメの項で教科書を引いて述べている記述。涙腺とハーダー腺の扁平上皮化生、第三眼瞼の嚢胞形成、まぶたが閉じたままになること)[1]
- ヘルペスウイルス感染(淡水ガメでの記述。慢性の感染は、症状が出ないままか、口内炎・鼻炎・まぶたの浮腫・皮下の浮腫・元気消失・食欲不振などを示すことが多いと記されている)[1]
- マイコプラズマ感染(レビューは結膜炎と鼻炎を初期の症状として挙げており[1]、リクガメの調査や症例でも結膜炎・まぶたの浮腫が報告されている[2] [3])
- ダニの付着(1 例の報告)[4]
- 肝臓・腎臓・心臓に関わる全身の病気(目の周りの腫れの原因になりうるとされる)[1]
ただし、これらは野生個体の調査、抄録のみを参照した 1 例、1 例の症例報告、レビューによるもので、 個々の飼育環境で何が原因かを、当サイトが特定することはできません。 診断は必ず獣医師の判断によります。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。
そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると考えられています。
- 症状の変化(まぶたの腫れ具合、目の分泌物、目を開けているか、食欲、呼吸の様子)を記録しておくと、受診時に役立つ
- 日ごろ与えている餌の内容を、受診時に伝えられるようにしておく
- 他の個体と同居させている場合は、症状のある個体を分けることを検討する(感染性の病原体が報告されているため)
- 目を家庭で洗ったり、市販の薬を自己判断で使ったりしない
これらは一般的な健康管理であり、すでに目の症状が出ている個体を治すものではありません。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- まぶたが閉じたまま開かず、えさも食べない
- 口を開けて呼吸している、呼吸が荒い・苦しそうに見える
- ぐったりして反応が鈍い
数日のうちに受診を検討してください
- まぶたや目の周りが腫れている状態が続いている
- 目やにや涙のような分泌物がついている
- 目の表面に膜のようなものや白っぽいものが見える
- 目の周りの皮ふが荒れている、まぶたが小さく見える
- 目の周りにダニのようなものが付いている
- 鼻水が出ている、食欲が無い状態が数日以上続いている
目の症状は、鼻水など上気道の症状や所見と並んで報告されることがあります[2][3]。自己判断で様子を見続けず、早めに相談することが勧められます。