要点
カメ・リクガメの鼻から粘液や鼻水が出ている、鼻の周りが腫れている・ただれている、 口を開けて呼吸している、目の周りが腫れぼったい。
これらは、野外調査や症例報告で報告されている上気道疾患(URTD)や肺炎の症状と 重なります[1]。
どんな症状か
ゴファーガメ 197 頭を対象にした野外調査では、上気道疾患の外部所見として 次のようなものが挙げられています[1]。
- 鼻水・粘液の蓄積・炎症
- 慢性化すると、鼻の左右非対称・びらん・上くちばしのびらん
この調査では、病気の重症度と「相対的な体のコンディション」(実測体重を 年齢等から予測される体重で割った値)とのあいだに統計的に有意な関連が 見つかったとも報告されています[1]。「症状が重いほど痩せている」 という予想とは逆に、症状が重い個体ほど相対的な体のコンディションが 高い(痩せていない)という関連でした(関連の強さ自体は弱く、論文も 「痩せているほど重症」という予想が裏切られたと述べています)[1]。
実験的に病原体(Mycoplasma agassizii)を感染させた研究では、 「粘稠な滲出液による鼻孔の閉塞と呼吸上皮の破壊」を伴う慢性の経過が 報告されています[2]。
野生の緑ウミガメ 1 例の症例報告では、衰弱して反応が鈍い状態で発見され、 レントゲンで両側の肺に不透過像の拡大が見られ、致死的な気管支肺炎・気管炎と 診断されています[3]。これは海棲ガメの症例であり、飼育下の カメ・リクガメにそのまま一般化できるわけではありませんが、 呼吸器の病気が重症化・致死的になりうることを示す報告として挙げます。
考えられる原因
野外調査や症例報告では、次のようなものが呼吸器疾患に関わる病原体として 報告されています[1] [2] [3]。
- Mycoplasma agassizii などのマイコプラズマ
- 細菌(症例報告では Serratia proteamaculans など)
ただし、これらの報告の多くは野生個体群や実験感染を対象にしたもので、 個々の飼育環境で何が原因かを、当サイトが特定することはできません。 診断は必ず獣医師の判断によります。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。
そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると 考えられています。
- 適切な温度・湿度を保ち、保温が不足しない環境を用意する
- 他の個体と同居させている場合は、症状のある個体を分けることを検討する (感染性の病原体が報告されているため)
- 症状の変化(鼻水の量、呼吸の様子、食欲)を記録しておくと、受診時に役立つ
自己判断で市販の薬を使ったり、様子を見て自然に治ることを期待したりせず、 早めに相談してください。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- 口を開けて呼吸している、呼吸が荒い・苦しそうに見える
- ぐったりして反応が鈍い
数日のうちに受診を検討してください
- 鼻水や粘液が出ている状態が数日以上続いている
- 鼻の周りが腫れている、左右非対称に見える
- 食欲が無い状態が数日以上続いている