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カメ・リクガメの鼻から粘液が出る・口を開けて呼吸する(肺炎・呼吸器疾患)

カメ・リクガメの鼻から粘液が出ている、鼻の周りが腫れている、口を開けて呼吸している ときは、上気道疾患(URTD)や肺炎が報告されている症状と重なります。 野外調査や症例報告をもとに、報告されている症状・原因・受診の目安をまとめました。

文献 3 本更新

診断や治療を提供するものではありません。

ここに書いてあるのは、文献に報告されている内容の要約です。 実際の診断・治療は、必ず動物病院で受けてください。

要点

カメ・リクガメの鼻から粘液や鼻水が出ている、鼻の周りが腫れている・ただれている、 口を開けて呼吸している、目の周りが腫れぼったい。

これらは、野外調査や症例報告で報告されている上気道疾患(URTD)や肺炎の症状と 重なります[1]。

カメの鼻・目の周りの腫れと口を開けての呼吸のイメージ図
イメージ図。実際の個体の見え方には個体差があります。鼻水・鼻の周りの腫れ、口を開けての呼吸、目の周りの腫れぼったさを示しています。

どんな症状か

ゴファーガメ 197 頭を対象にした野外調査では、上気道疾患の外部所見として 次のようなものが挙げられています[1]。

この調査では、病気の重症度と「相対的な体のコンディション」(実測体重を 年齢等から予測される体重で割った値)とのあいだに統計的に有意な関連が 見つかったとも報告されています[1]。「症状が重いほど痩せている」 という予想とは逆に、症状が重い個体ほど相対的な体のコンディションが 高い(痩せていない)という関連でした(関連の強さ自体は弱く、論文も 「痩せているほど重症」という予想が裏切られたと述べています)[1]。

実験的に病原体(Mycoplasma agassizii)を感染させた研究では、 「粘稠な滲出液による鼻孔の閉塞と呼吸上皮の破壊」を伴う慢性の経過が 報告されています[2]。

野生の緑ウミガメ 1 例の症例報告では、衰弱して反応が鈍い状態で発見され、 レントゲンで両側の肺に不透過像の拡大が見られ、致死的な気管支肺炎・気管炎と 診断されています[3]。これは海棲ガメの症例であり、飼育下の カメ・リクガメにそのまま一般化できるわけではありませんが、 呼吸器の病気が重症化・致死的になりうることを示す報告として挙げます。

考えられる原因

野外調査や症例報告では、次のようなものが呼吸器疾患に関わる病原体として 報告されています[1] [2] [3]。

ただし、これらの報告の多くは野生個体群や実験感染を対象にしたもので、 個々の飼育環境で何が原因かを、当サイトが特定することはできません。 診断は必ず獣医師の判断によります。

家庭でできること

診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。

そのうえで、一般的な健康管理として次のことが助けになる可能性があると 考えられています。

  • 適切な温度・湿度を保ち、保温が不足しない環境を用意する
  • 他の個体と同居させている場合は、症状のある個体を分けることを検討する (感染性の病原体が報告されているため)
  • 症状の変化(鼻水の量、呼吸の様子、食欲)を記録しておくと、受診時に役立つ

自己判断で市販の薬を使ったり、様子を見て自然に治ることを期待したりせず、 早めに相談してください。

受診の目安

今日中に受診を検討してください

  • 口を開けて呼吸している、呼吸が荒い・苦しそうに見える
  • ぐったりして反応が鈍い

数日のうちに受診を検討してください

  • 鼻水や粘液が出ている状態が数日以上続いている
  • 鼻の周りが腫れている、左右非対称に見える
  • 食欲が無い状態が数日以上続いている

よくある質問

鼻水が少し出ているだけでも受診したほうがいいですか

ゴファーガメ 197 頭を調べた調査では、上気道疾患の外部症状として 「鼻水・粘液の蓄積・炎症」が挙げられ、慢性化すると 「鼻の非対称性・びらん」に進むと報告されています[1]。 少量の鼻水でも、数日以上続くなら軽く見ずに受診の対象にしてください。

呼吸器の病気は治りにくいのですか

実験的に病原体(Mycoplasma agassizii)を感染させた古い研究では、 「粘稠な滲出液による鼻孔の閉塞と呼吸上皮の破壊」を伴う慢性の経過が 報告されています[2]。慢性化しうる病気であることを踏まえ、 早めに受診し、獣医師の判断を仰ぐことが勧められます。

元気そうに見えても油断できませんか

野生の緑ウミガメ 1 例の症例報告では、衰弱して漂流している状態で 発見された後、致死的な気管支肺炎・気管炎と診断されています[3]。 これは海棲ガメの症例で、飼育下のカメにそのまま当てはまるとは 限りませんが、呼吸器の病気が命に関わることがある例として、 症状に気づいたら様子見にせず受診を検討してください。

根拠にした文献

  1. Goessling JM, Guyer C, Godwin JC, Hermann SM, Sandmeier FC, Smith LL, Mendonca MT. (2019). Upper respiratory tract disease and associated diagnostic tests of mycoplasmosis in Alabama populations of Gopher tortoises, Gopherus polyphemus. PLoS One, 14(4): e0214845。DOI: 10.1371/journal.pone.0214845CC BY
  2. Brown MB, Schumacher IM, Klein PA, Harris K, Correll T, Jacobson ER. (1994). Mycoplasma agassizii causes upper respiratory tract disease in the desert tortoise. Infection and Immunity, 62(10): 4580-4586。DOI: 10.1128/iai.62.10.4580-4586.1994抄録のみ 抄録による記述です。
  3. Hall J, Bender H, Miller N, Thompson P. (2022). Fatal Bronchopneumonia and Tracheitis in a Green Turtle (Chelonia mydas) Caused by Serratia proteamaculans. Animals (Basel), 12(15): 1891。DOI: 10.3390/ani12151891CC BY

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