要点
カメの甲羅に小さな亀裂やへこみができている、部分的な変色が続いている。
こうした甲羅の変化は、まとめて「甲羅病」(いわゆる「シェルロット」)と呼ばれることがあり、文献でも甲羅の病変として報告されています[1][3][4]。**ただし、今回参照した文献は野生個体群を対象にした調査が中心で、白い変色やただれのような具体的な見た目までを記述したものではありません。**ペットとして飼われているカメの見た目にそのまま当てはめられるとは限りません。
原因は特定の真菌感染との関連が報告されている一方[1][2]、詳しく調べても原因がはっきりしない例も報告されており[3]、見た目だけで原因を決めつけることはできません。
どんな症状か
対象や調査方法が異なる複数の報告があり、内容もさまざまです[2][3][4]。このうち[2][4]は野生個体群を対象にした調査で、飼育下のカメを直接調べた報告は今回見つかりませんでした。[3]は「自然に近い環境で管理されている」個体を対象にしており、野生個体群かどうかは出典からは確認できません。
| 報告 | 対象 | 主な所見 |
|---|---|---|
| 米国の野生デザートトータス108頭・5年間の追跡調査[4] | 野生の陸棲リクガメ | 48.1%が中等度〜重度の甲羅病変を経験したと報告 |
| ミズガメ(マップタートル)19頭の調査[3] | 「自然に近い環境で管理されている」個体(野生個体群かは出典から未確認) | 甲羅病変のスコアは54点満点中中央値9点(軽度〜中等度)。19例中8例で亀裂・小さな窪みが見られた。培養では6検体から好気性細菌、11検体から嫌気性細菌が検出されたが、真菌は検出されず、組織を調べても炎症や感染を示す所見は見られなかった |
| 米国イリノイ州の野生6種835頭の調査[2] | 複数種の野生ガメ(水棲・陸棲) | 甲羅病との関連が指摘される真菌 Emydomyces testavorans が検出されたのは835頭中4頭(Blanding’s turtleとアカミミガメの2種のみ)で、残り4種では検出されなかった |
この真菌(Emydomyces testavorans)は、2019年に淡水性の水棲ガメの甲羅病変から分離された21株をもとに、新しい属・種として初めて報告されたものです[1]。それ以前は、近縁の真菌が他の爬虫類(ワニ・トカゲ・ヘビなど)の病原体として知られていたものの、水棲ガメでの報告はありませんでした[1]。
考えられる原因
- 特定の真菌(Emydomyces testavorans)への感染が、水棲ガメの甲羅病変との関連として報告されている[1][2]
- 野生のデザートトータスでは、感染とは別に、角質の異常(cutaneous dyskeratosis)とされる甲羅病変が高い頻度で報告されている[4]
- 甲羅を生検・培養すると細菌が検出されることもあるが、組織に炎症や感染の所見が無く、真菌も検出されないまま原因がはっきりしない例も報告されている[3]
- 上記の真菌がイリノイ州の野生個体群で検出されたのはごく一部(835頭中4頭)であり、まれな病原体とされている[2]
甲羅の変化がすべて同じ原因で起きているわけではなく、感染性のものと、そうでないと考えられるものの両方が報告されています。
家庭でできること
診断や治療は家庭でできることではなく、必ず獣医師の判断が要ります。
- 水棲・半水棲のカメでは、水を清潔に保ち、こまめに換える
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PR 陸棲ゾーン用の床材:楽天Amazon - 適切な温度・紫外線環境を保つ
PR UVB(紫外線)ライト:楽天Amazon - 甲羅の色・硬さ・形を定期的に観察し、普段との違いに気づけるようにする
- 甲羅を自己判断で削ったり、薬剤を塗ったりしない
これらは一般的な飼育環境の管理であり、すでにできている甲羅の病変を治すものではありません。
受診の目安
今日中に受診を検討してください
- 甲羅の一部が柔らかくなっている、へこんでいる、異臭がする
- 甲羅の下の骨や軟部組織が見えている、出血している
数日のうちに受診を検討してください
- 甲羅の色が部分的に白っぽく変わった状態が続いている、または広がっている
- 甲羅の表面に亀裂や小さな穴ができている
- 食欲や元気の低下を伴っている
見た目だけでは原因が感染性かどうかも判断できないため[3]、上記のような変化が続く・広がる場合は、自己判断で様子を見ず、獣医師に相談することが勧められます。